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4. パクダ・カッチャーヤナの七要素説

 

 パクダ・カッチャーヤナは七要素説を説いた。人間は七つの要素、すなわち地水火風楽苦と生命(あるいは霊魂)からなるもので、これらは作られたものではなく、何かを作るものでもない。不動、不変で互いに他を害することがない。殺すものも殺されるものもなく、学ぶものも教えるものもいない。たとえ、鋭利な剣で頭を断っても、誰も誰かの命を奪うわけではない。剣による裂け目は、ただ七つの要素の間隙にできるだけである。行為に善悪の価値はないとする。

 

 さきのプーラナ・カッサパの教えと同じく、これも道徳破壊の思想とされるが、そうではない。人間の本質は霊魂にあると見て、霊魂は不動、不変なものなので、殺すことも害することもできないというのである。『バガヴァッド・ギーター』2.24の「彼は断たれず、焼かれず、濡らされず、乾かされない。彼は常住であり、遍在し、堅固であり、不動であり、永遠である。」という思想と同じものである。1)

 

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 1) 野沢正信「古代インドの宿命論アージーヴィカ教について」『印度哲学仏教学』第18号、2003年、pp.34-51.参照。

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